セブ島サンペドロ要塞 スペイン統治の面影が残る・・・

マゼランが上陸した歴史と伝統のリゾートアイランド「セブ島」。

 セブ島・マクタン島は、フィリピンのほぼ中央に位置するビサヤ諸島
(パナイ、ネグロス、ボホール、レイテ)の中心部に位置する島です。
セブ島は長さ約200km、幅約40kmの南北に細長い島です。
セブ本島は4422km2で、フィリピン群島の中で9番目の大きさです。
セブ市は約70万人で、167の島々からなるセブ州の州都です。
一方、マクタン島は面積約62km2、周長約35kmのサンゴ礁でできた小島です。
2つの島は約1kmしか離れておらず、マクタン・マンダウェ橋で結ばれています。
この島は、かつてのスペイン植民地時代の史跡や建物が数多く見られる歴史の島で、
フィリピンにおけるキリスト教の発祥地でもあります。
初の世界一周で有名なスペインのマゼランが1521年4月7日にセブ島に上陸しました。
現在は青い海と白い砂のリゾートアイランドとして外国人観光客でにぎわっています。

 


   
   


     



 

最初のクリスチャンはフマボン国王
 セブ港は当時、すでに中国、タイ、東インド諸島、アラビアの王国の商人が訪れる貿易港でした。
当時のセブ島の支配者フマボン王は、スペイン艦隊との戦闘を避け、友好の証としてファナ女王、
そして臣下400人とともにキリスト教の洗礼を受けました。
イスラム教や仏教国の多いアジア諸国の中で、唯一のカトリック教国であるフィリピン。
国民の心に深く根を下ろすキリスト教は、こうしてマゼランによって初めてセブ島に伝えられ、フィリピン全土に広まっていったのです。

 マゼラン・クロス
随所に残るマゼランの足跡

 
セブ市中心部、セブ市庁舎のすぐ前にある八角堂には、高さ5mほどの黒い木製の十字架がまつられています。
これは、フィリピン最初のキリスト教徒となったフマボン王とその家族・臣下の洗礼を記念して
マゼランが建造したと言われるもので、「
マゼラン・クロス」と命名されています。
1521年4月14日に建立されましたが、奇跡を呼び万病に効くと信じた地元民が十字架を少しずつ削り取ったため、
全壊を防ぐ目的で十字架の外側部分を複製にして補強しています。
八角堂は1735年に建てられたもので、天井には当時の洗礼儀式の様子を物語る宗教画が描かれています。



 フィリピン最古の歴史を誇る    サント・ニーニョ(幼年のイエス)のレリーフ
サント・ニーニョ教会堂
 
マゼラン・クロスから200mほど、ファン・ルナ通りを横切ったところに、珊瑚石でできた立派な教会があります。
これが「サント・ニーニョ教会堂」です。
セブ島を統治したスペイン軍の初代総督、ミゲル・ロペス・レガスピとアンドレス神父により建設されたもので、
フィリピン最古の教会です。ただし現在の建物は、再度の焼失により1740年に再建されたものです。
サント・ニーニョ教会の礼拝堂の左手奥、祭壇のガラスケース中には、
マゼランが運んできたと伝えられる「サント・ニーニョ(幼年のイエス)像」が安置されています。
身長40cmほど、冠と衣装に宝石が散りばめられたきらびやかなサント・ニーニョの前には、日曜日になると、
島の内外から礼拝に訪れる熱心な教徒の行列ができます。




 スペイン統治時代の軍事拠点
サン・ペドロ要塞
 
サント・ニーニョ教会堂からセブ港方向へ500m程行くと、アメリカからの独立を記念してつくられた「独立広場」の先に、
やはり珊瑚石で造られた大きな砦が姿を現します。城壁の高さ6m、塔の高さ9m、砦内の広さは2025m2。
これは、1565年にスペイン初代総督レガスピが反乱軍防御のために築いた「サン・ペドロ要塞」です。
建設当初は木造でしたが、1738年現在の堅固な石造城砦に改造されました。
正門の上の大きな砲台に、スペイン植民地時代の名残が感じられます。
サン・ペドロ要塞はその後、アメリカ統治時代には米軍の兵舎が建てられ、
第2次世界大戦中は日本軍に接収され、牢獄や捕虜収容所として使われました。
現在、要塞を含む一帯は「自由の広場」と呼ばれる公園に整備され、憩いの場として多くの市民に親しまれています。




郷土の英雄ラプラプ
 マクタン島にもマゼランゆかりの史跡がありますが、スペインとの平和、友好関係を強調したセブ島のそれと異なり、
マクタン島の場合は多少の血生臭さを感じずにはおれません。
なぜなら、マクタン島にはスペイン軍の服従を拒否してマゼランと戦い、勝利を収めた史実があるからです。
   壁画
ラプラプ像

 1521年、セブ島を支配下に置いたマゼランは、目と鼻の先にあるマクタン島を目指しました。
しかし当時のマクタン島首長ラプラプは、スペイン軍への忠誠を潔しとせず武力でこれに対抗。
同年4月27日、浅瀬を歩いて上陸しようとしたマゼラン軍に、
弓矢などで武装した1000人以上のラプラプの兵士が襲い掛かり、見事に打ち負かしました。
マゼランはこのときの負傷がもとで命を落としています。
戦闘が行われたマクタン島北端のエンガノ岬には、左手に楯、
右手に大きな刀を握った精悍なラプラプ像が、海をにらんで建っています。
侵略者の側面を持っていたと言われるマゼラン艦隊から島を護り、
民族の誇りを貫いたラプラプは、マクタン島のみならずフィリピンの英雄の一人として人々から愛されています。
ちなみに、フィリピンで魚の王様といわれる高級魚のラプラプの名は、
この郷土の英雄にあやかったものといわれています。



   マゼラン・シュライン内部
マゼラン・シュライン

 
ラプラプ像から100mほど離れた所には、ラプラプ像に対抗するように、
マゼランの偉業をたたえた記念塔マゼラン・シュラインが建っています。
スペインにとってみれば、植民地を次々に開拓し、キリスト教を布教してまわったマゼランこそが誉高い英雄です。
この塔はスペイン統治下の1866年に建造されたものです。教会の尖塔をほうふつさせる荘厳な記念碑で、
塔には「ヘルナンド・デ・マガリャンイス
(マゼラン)」と刻まれています。
また、その脇の吹抜けの建物には、マゼランの軍隊とラプラプの戦士との戦いぶりを描いた壁画があります。




世界有数のダイビングスポット

 フィリピン屈指のリゾートアイランドとしておなじみのセブ・マクタン島。
マニラの南562kmに位置するこの島の最大の観光資源は、
ミントグリーンの透明度の高い海と美しい白浜のビーチにほかなりません。
バラエティーに富んだ美しい珊瑚、色鮮やかな熱帯魚、
回遊魚の宝庫として世界中のダイバーの注目を集めるビサヤ諸島。
その中でも、セブ・マクタン島周辺には世界有数のダイビングスポットが集中しており、
スキューバダイビングやシュノーケリングのメッカとなっています。




透明度の高いモアルボアル

 セブ島西海岸のモアルボアルは、本島きってのダイビングスポットです。周辺の海は18~21mもの透明度があり、
特にバスディオットとサアベドラには珊瑚が多く、魚の種類も豊富。
バスディオットのドロップオフ(24~30mの海底)にはケープがあり、大きなヘビを見ることができます。
モアルボアル沖合いの、海底35mまで落ちるドロップオフのフォーメーションが見事なペスカドール島、
潮流が急でベテラン向きのバディアン島、またセブ本島北西端のバンタヤン島などもおすすめです。




ビーチリゾートを基地に

 最も手軽に行けて、ビギナーからベテランまで楽しめるのが、マクタン島のリゾート周辺のポイントです。
沖合いに浮かぶ小島オランゴ島まで足を延ばせば、美しい珊瑚庭園やゲームフィッシュにも出会えます。
マクタン島周辺では、このほか、オランゴ島の南西に点在する小島(スルパ島、パンガナン島、ヒルトゥガン島、
カオハガン島など)が、格好のダイビングスポットになっています。
セブ・マクタン島でのダイビングは、ビーチリゾートを基地に活動するところに特色があります。
ほとんどのリゾートで、ダイビング用具、インストラクターはもちろん、ダイビングライセンス取得コースを用意してあります。
1970年以降、リゾート開発に力を注いできたセブ・マクタン島には、理想的なリゾートホリデーを過ごせる高級ビーチ・リゾートがいくつもあります。




エネルギッシュな街・人々

 セブ・マクタン島を初めて訪れた観光客が目を丸くし、カルチャーショックを受けるのが乗り物です。
乗用車や路線バスの代わりに、道路を縦横無尽に走りまわっているのが、乗合タクシーのジープニーです。
アメリカ軍が使用していた中古ジープを改良したもので、派手さを競うかのようにカラフルな色彩が施されています。
定員は8~10名ですが、鈴なりの乗客を乗せているのがほとんどです。




行き交うジープニー・トライシクル

 
ジープニーの次ぎに多いのが、オートバイの横に座席をつけた三輪車のトライシクル。
郊外や離島などでは、ジープニー以上に人々の足として活躍しています。
人口50万人のセブ市民が話す言葉は、セブアーノと呼ばれるセブ語です。
公用語のピリピーノ語や英語はもちろん使われますが、日常会話はビサヤ語とも呼ばれるセブ語が中心となります。
セブ・マクタン島の人々は、明るく屈託がないフィリピン人の中でも、特に陽気でフレンドリーです。




市民の台所 カルボン・マーケット

 
人々の素顔と日々の暮らしぶりを知るには、サン・ペドロ要塞を西へ2km、
セブ港沿いのケソン大通りを入ったカルボン・マーケットをのぞいて見るのが一番です。
ここは、港に面した通り一帯を、間口一間ほどの露店がひしめきあうように軒を連ねる公共の青空市場。
棚や店先の竹籠には、米、鶏卵、肉類、野菜、果物などの食料品があふれんばかりで、
見たことのないフルーツや生きたままの鶏や豚にもお目にかかれます。
まさに「市民の台所」という感じです。他にも、生花、日用雑貨、衣類、手工芸品、台所道具、藤製品・・・etc。
その種類の雑多さ、ボリューム感、そして何よりも売り買いする人々や市場全体にたち込めるエネルギーに圧倒されます。
ここには、まぎれもないセブ島の人々の日常の素顔があります。




セブの味覚はシーフード

 その土地特有の料理や特産物に触れることは、旅行の大きな楽しみの一つです。
リゾート・ホテルや市内のシーフード・レストランでは、巨大ロブスター、イカ、車エビ、
何種類ものカニや貝の他に、ラプラプ(ハタ科の白身魚)、タンギンギ(サワラの一種)など、
日頃あまり口にすることのできないビサヤ諸島ならではの海の幸を、炭焼きやバーベキュー料理で味わうことができます。
デザートにはパイナップル、パパイア、スターアップルといった色とりどりのトロピカルフルーツを。
大きさと味の良さで格別視されるセブ・マンゴーは島の特産品です。




特産品は貝細工、ギター

 セブ・マクタン島の代表的な土産品はカピス貝、黒珊瑚、アコヤ貝などを加工した貝細工です。
各種アクセサリー、ランプシェードなど、天然素材の美しさを生かした手作りの素朴な味わいに人気があります。
また、手作りのギター、ウクレレ、ラタン家具製品、ストーンクラフト、食器や人形などの木彫品、
パイナップルやバナナの繊維を素材にした高級織物などに見るべきものがあります。